自家採取したビカクシダ(コウモリラン)・リドレイの胞子培養を開始してから約 1 ヶ月で発芽、2 ヶ月で前葉体が肉眼で確認できるほどに成長しました。
昨年12月にリドレイの胞子を採取
昨年の 12 月、リドレイの胞子嚢に胞子が作られているのを確認。リドレイを 2 年栽培していて初の胞子です。
リドレイの胞子葉は数あるビカクシダ(コウモリラン)の種類の中でも、特に鹿の角のように上向いていて格好良いと思うのですが、胞子嚢もスプーン型をしていて面白みがあります。
青のりのような色合いの、粉末状の胞子を採取することができました。今回はこの胞子を用いて胞子培養に挑みます。
水苔にリドレイの胞子を撒く – 2017年12月23日
密封容器に水苔を詰めて上から胞子をパラパラと撒きます
水苔を熱湯で戻し(殺菌の意味合いもあります)、平温に冷めてから密封容器に詰めます。
その上から採取したリドレイの胞子をパラパラと、なるべく重ならないよう満遍なく薄く広く撒きます。
今回ビカクシダの胞子培養を始めるにあたり特に参考にしたサイトはスーパーサボテンタイム さん、昨年から同じくリドレイの胞子培養をされている BIKAKUSHIDA.com さんなど。
余計な菌の混入を防ぐこと、「湿度」「温度」が発芽のための重要な要素で、通風は不要なため密封した状態で管理します。「日照」についてですが、スーパーサボテンタイムさんでは光源にかなり気を使われていましたが、BIKAKUSHIDA.com さんは室内の日陰でも発芽するなど重要度が分かりかねたため、室温を重視し家の中の最も温度が安定している自然光の当たらない場所に保管。光源は植物育成用蛍光灯のみの環境としました。
リドレイの胞子発芽を確認 – 2018年2月1日
胞子を撒いてから約30日で発芽、40日で前葉体(原葉体)が見えるほどに
ビカクシダ・リドレイの胞子を撒いてから約 1 月ほどで発芽するケースが多いらしいのですが、例に漏れずその通り発芽。
30 日目くらいで色の変化に気付きこれは発芽かも?と思いましたが肉眼ではよく分からず、 40 日で前葉体(原葉体)を目視できるようになりました。
発芽の様子を拡大した画像
前葉体(原葉体)を拡大した様子。シダ・コケ類の前葉体は造精器、造卵器を備えており、それぞれが精子と卵子を作り、受精することで胞子体が育ちます。
生物の教科書に載っていることですが、こうして実際に胞子の発芽を目の当たりにすると自然の神秘に触れるような、童心に返った心持ちになります。
リドレイの胞子を栽培している環境
発芽に至った培養環境は以下のようなもの。胞子を撒いてからは蛍光灯の点灯以外何もしていません。
- 気温は 20〜25 度程度で安定
- 食品保管用の容器に密閉、週 1 回の確認以外は閉めっぱなし
- 乾燥しないため水苔を戻した時の水以外に追加の水やりはなし、肥料もなし
- NEC の「ビオルックスHG(熱帯魚観賞植物育成用蛍光灯)」 1 灯を朝から夜 7 時くらいまで点灯
もし胞子を培養してから 1 月経っても何も変化がないようであれば、環境を見直した方が良いと思われます。
リドレイの前葉体(原葉体)すくすくと成長中 – 2018年2月23日
前葉体(原葉体)が確認できる動画
順調に成長中
前葉体が日々育っていき、容器の蓋を開けて覗くのが楽しくて仕方ないのですが、雑菌が混入してはいけないのでほどほどで我慢!
このまま順調にいけば受精が始まり胞子体が生まれるというサイクルになるはず。受精を促すため、今後は追加で水を与える予定です。