2 月 8 日の英科学誌ネイチャーオンライン版にて、サウジアラビア・アブドラ王立科学技術大学を中心とする研究チームがキヌアのゲノム (遺伝情報) を解読したとの研究結果が発表されました。
食糧危機の切り札として期待されるキヌア
キヌアは南米アンデス地方原産で、必須アミノ酸・ビタミン・ミネラルなどを豊富に含んでおり健康食品の愛好家から近年注目を集めている穀物です。
その栄養素の高さとバランスの良さ、さらに海抜 4,000 メートル以下の不良環境下でも栽培が可能なことから、世界的な食糧危機問題の解決に役立つと考えられています。
国際連合食糧農業機関 (FAO) は 2013 年を「国際キヌア年」と定めて以降、キヌアの普及を世界的に推進。米国航空宇宙局 (NASA) も宇宙飛行士の食料候補にキヌアを挙げているほど。
しかし現在までキヌアは大量生産の技術が確立しておらず、味にも苦味が出るなどのばらつきがありました。主要作物の小麦やトウモロコシほど品種改良が進んでいないためでしたが、今回のゲノム解読によりキヌアの生産高の拡大と生産性の向上が期待されます。
日本でのキヌア生産
日本でも山梨県上野原市などでキヌアの生産が試みられていますが、生産量はごく僅か。日本の気候に合わせた品種改良が実現すれば、国産キヌアを安価で購入できる日が来るかもしれません。
ちなみに、今回の研究結果の著者には日本人の峯田克彦氏の名前も見られます。日本人がこのような価値ある研究に貢献していることはとても誇らしいですね。