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地下で植物を栽培?世界初の地下公園「ロウライン」実現に向け、実験施設を公開中

ニューヨークの地下公園ロウライン

米国・ニューヨークで世界初の地下公園である「ロウライン(Lowline)」の実現へ向けた研究が進められています。

「ロウライン」の建設予定地は 1903 年から 1948 年まで使われたトロール電車の地下ターミナル「ウィリアムズバーグ・トローリー・ターミナル」の跡地で、面積はサッカーのフィールドほどです。また、周辺のロウアー・イースト・サイド(Lower East Side)は、マンハッタンのなかでも人口密度が高く緑の少ないエリアのひとつで、公共の場が不足している地域です。

この地に市民の憩いの場となる公園をつくろうというこの試みは、米航空宇宙局(NASA)でエンジニアとして働いたのち独立してデザイン事務所を設立した建築家のジェームズ・ラムジーと、ロウアー・イーストサイド出身の祖母を持ちニューヨーク市政府・グーグルに勤務していたダン・バラシュの 2 人によって発案されました。

以下は、2014 年に TED でロウラインの構想を語っているダンの動画です。

地下公園建設への道のり

地下に公園を作るうえで問題となったのは 7,000 万ドル以上と推定される建設費用と、どのように植物に太陽光を届けるかということです。

彼らは 2012 年から資金調達のイベントを度々開催し、多くのコミュニティやニューヨーク市長、市議員からの協力を取り付けることに成功しました。

ニューヨーク市や連邦政府に助成金を申請、企業や個人からの寄付を募っているほか、2 度にわたりクラウドファウンディングにて開発資金を調達しました。目標とする金額には達していませんが、バラシュは計画通りに進めば 2018~2019 年には着工できると自信を見せます。

日光を地下に届ける技術、クラウドファンディングで開発費を調達

次に太陽光ですが、建設地の地上は道路で交通量も多く、広い開口部を設けることはできません。そこで独自の太陽光収集システムを設計し、kickstarter で調達した 22 万ドルの資金をもとに公開実験施設「Lowline Lab」を建設、昨年10月17日に一般公開しました。

kickstarter によると、この太陽光収集システムは提携している韓国・イギリスを拠点とする太陽光デバイスメーカーの SunPortal の機器を用いており、建設地近くの倉庫の屋根に季節や時間ごとに収集する光量を最適化できる 3 つの太陽光収集装置を設置。集められた太陽光はチューブを介して地下に届けられます。

こうして集められた日光をもとに、ツタ類や多肉植物、カラシナやイチゴなどの野菜や果物など何十種もの草木が地下の公園で育てられる予定です。

「Lowline Lab」は 2017 年 3 月まで土曜と日曜の 10:00~17:00 に一般公開しており、講演などのイベントも随時開催されています。詳細は Facebook を参照してください。