栽培記録

ビカクシダ(コウモリラン)をバージンコルクに板付けする

シカの角のように広がる独特の葉の形状が人気のビカクシダ(コウモリラン/Platycerium)。自生地では樹木に着生して育つシダ植物で、ヘゴ板に付けて室内に飾るとインテリアのアクセントにもなることから、最近は家具やアパレルのセレクトショップでも取り扱われています。

今回は約 2 年育ててきたビカクシダ・ウィリンキーが着生していた杉板からはみ出すほど大きく成長したため、バージンコルクに付け直しをします。

高さ・幅30cmほどのバージンコルクに板付け

バージンコルク 板

練馬の渋谷園芸にて 4,000 円弱で購入したバージンコルク。平らな板ではなく、大きく湾曲しており縦横の最大長は 30 cm ほど。

このコルクの気に入っているところは何と言っても半円に近い大きく湾曲した形状で、ビカクシダが横に子株を展開し群生していくことを想定しています。

杉板からはみ出したビカクシダ

ビカクシダ ウィリンキー

今回板の付け替えをするのはこちらのビカクシダ・ウィリンキー(のはず)です。杉板に着生していますが、子株が無数に生まれ板の側面まで貯水葉が覆うように。

子株を分けて別の板に付けるという手段もあるのですが、群生株こそビカクシダの真骨頂、あるべき姿だろうとより大きな板への付替えを選択しました。

杉板からビカクシダが剥がれない

ビカクシダ ウィリンキー

まずはビカクシダを杉板から引き剥がそうと、貯水葉の中に手をかけて引っ張っても全然びくともしません。

購入時(下画像)からビニール紐 1 本で平らな板に結びつけていたままだったので、重量が増えてきたら落下の心配があると思ったのも今回の付替えの理由だったのですが、さすがは着生植物、板に完全に着生しています。

ビカクシダ ウィリンキーの胞子採取

包丁を入れて引き剥がす

サイズが大きいためカッターナイフでは奥まで届かないので、普通の料理用の包丁を入れて引き剥がすことに。

コウモリラン ウィリンキー

ビカクシダの根を傷つけないよう気を付けながら板の間に包丁を入れていくと、メキメキと予想外の硬い音がします。

コウモリラン ウィリンキー

取っ掛かりのない平らな板でもかなりの強度で着生していました。板から離すとビカクシダの根がまっ平らに伸びています。

コウモリラン ウィリンキー

湾曲したコルクに合わないので少しほぐそうとしたのですが硬い・・・仕方なくビカクシダはこのままで、隙間を水苔で埋めて調整して取り付けることに。

コルク板にビカクシダを取り付け

バージンコルク板付け

コルク板のビカクシダを付ける部分に、熱湯で殺菌して戻しておいた水苔を貼りつけます。

これまでの杉板とは全く雰囲気が違い、コルクに苔という自然味あふれる組み合わせになんだか心が踊ります。もう一つあるビカクシダ・リドレイはヘゴ板に着生させていますが、次は必ずコルク板にしたいですね。

ビニール紐でコルクとビカクシダをしっかり固定

ビカクシダ バージンコルク 板付け

あちこちから生えてきている子株を避けつつ、ビニール紐でコルク板とビカクシダを固定します。ビニール紐はビカクシダに食い込まないように 2cm ほどの幅に広げました。

最後に、杉板に着生していた面が平らなので、コルクとの隙間が空いてしまう部分に水苔を詰めて安定させます。

ビカクシダのコルク板付け完成!

ビカクシダ バージンコルク 板付け

ビカクシダのバージンコルクへの板付けが完成しました!正面から見るとこんな感じに。

コウモリラン バージンコルク 板付け

このように、横にはまだ子株が広がる余地を設けています。このコルク板よりも大きくビカクシダが群生したのなら、コルク板を継ぎ接ぎにして延長していけたら面白いと思います。

目指せ新宿御苑大温室の群生ビカクシダ!

群生するビカクシダ

群生するビカクシダ

ビカクシダは古い貯水葉を覆うように新しい葉が生え、子株が脇から生まれます。群生するとどこまで大きく広がるのか、と言えば環境次第で限界はないようで、私が実際に見た最も大きいものは、幅が 3 mくらいありそうな新宿御苑の大温室にあるビカクシダです。

ビカクシダをヘゴ板に付けるのも良いですが、大きめのバージンコルクに群生させてみるのも野性味があり見ごたえがあるので試してみてはいかがでしょうか!