クチナシの基本情報
クチナシの花期は 6~7 月頃で、葉腋から短い柄を出し、強い芳香を伴う大型の 6 弁花を咲かせます。その甘い香りから早春のジンチョウゲ(沈丁花)、秋のキンモクセイ(金木犀)、と並び初夏のクチナシとして三香木に数えられています。花弁は咲き始めた当初は白色ですが、徐々に黄色味を帯びてクリーム色へと変色していきます。
10~11 月ごろに赤黄色の果実をつけますが、味はあまりしないため沢庵やきんとんなどを黄色く着色する天然の食用色素として使われます。また、乾燥させた果実は眼精疲労や血流の改善に効果があるとされる、漢方薬の山梔子(さんしし)の原料としても用いられます。なお、クチナシの実は熟しても割れない、つまり口が開かないことが「クチナシ」の和名の由来となったという説があります。
近年庭木として好んで栽培されている八重咲きのオオヤエクチナシ(大八重梔子、英名ガーデニア)は、中国産のクチナシがヨーロッパに渡り改良されたものです。こちらは結実しないので、完全な観賞用となります。
クチナシの育て方
日陰地にも耐えますが、日照時間が足りないと花付きが悪くなるため、半日程度は日が当たる場所に植えて下さい。湿り気があって表土の深い土地で、腐植質の多い土質を好みます。乾燥に弱い性質のため、強い西日が当たる場所は避けると良いでしょう。
用土
赤玉土(または黒土)に腐葉土を混ぜたものなど、通気性と保湿性に優れた用土が適しています。
水やり
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。乾燥に弱い性質のため、庭植え・鉢植えともに水切れさせないよう注意が必要です。
肥料
鉢植え、地植えともに元肥として骨粉入りの油粕などを用土に混ぜ込みます。開花後、お礼肥として油かすなどを少量株元に施します。
クチナシを育てるときに注意したい病気と害虫
病気
- すすかび病、褐色円星病など
風通しの悪い場所では病害が発生しやすくなるため、枝の透かし剪定をして風通しを良くしましょう。剪定は、花が咲き終わった後すぐの 6 〜 7 月に行います。7 月以降になると枝先で花芽の分化が始まるため、時期が遅れると剪定時に花芽まで落としてしまい、翌年の花が咲かなくなってしまいます。
害虫
- オオスカシバ、カイガラムシ、アブラムシなど
特に体長 10cm ほどに成長するオオスカシバの幼虫は葉、新芽やつぼみまで食べ尽くしてしまうため注意が必要です。発見次第「GFオルトラン液剤」などの殺虫剤を散布します。毎年 6 月頃に被害が顕著となるので、被害がないかよく観察してください。カイガラムシは成虫になると薬剤が効きにくいため、ブラシで擦り取ります。
クチナシの植え替え方法と時期
用土の通気性を確認し、2~3年に1回植え替えます。
クチナシの増やし方
さし木
6 ~7 月が一番の適期で、当年枝の充実した枝をさします。しかし、3 月から 4 月上旬、8 月下旬から 9 月にも行うことはできます。葉の大きなものは葉の 1/3~1/2 程度を切り捨て、数時間水あげをしてからさします。さし床は、赤玉、鹿沼土の単用か、これらにピートモスを混ぜたものを用います。
株分け
3 月下旬から 4 月に行います。枝が地を這って発根するコクチナシなどは、この方法でふやすとよいでしょう。
クチナシの花言葉
「幸せを運ぶ」「清潔」「私は幸せ」「胸に秘めた愛」
クチナシが登場する作品
- 映画「旅情」(1955)
主人公のジェーン(キャサリン・ヘプバーン)が若い時に舞踏会で身に付けたいと願うものの、叶わなかった「夢の花」がクチナシの花でした。クチナシの花が物語の象徴的な存在となる、美しく哀しい映画です。 - 演歌「くちなしの花」
渡哲也が 1973 年に発表したシングル曲。90 万枚を越える大ヒットとなり、美空ひばり、テレサ・テンや高橋真梨子らによってカバーされています。
クチナシに関する雑学
- 「The Lady of the blues」と称えられたアメリカの黒人女性ジャズ歌手ビリー・ホリデイ(1915~1959)は、カーネギー・ホールなどの大舞台に立つときクチナシの花を髪に挿していたことで知られ、クチナシを付けたレコードジャケットも印象的です。
なぜ彼女がクチナシの花を愛好していたかは知られていませんが、黒人差別の激しい時代に波乱万丈の人生を過ごした彼女が、「私は幸せ」という花言葉を持つクチナシの花を身につけることで自分を鼓舞し、勇気付けていたのではとも言われています。
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