今年 1 月にシアトルに開設された大手ネット通販会社アマゾン本社社屋「The Spheres(スフェアーズ)」は、ガラスの球体を 3 つ連結したような前衛的な建物のデザインのみならず、4 万以上の植物によって屋内に再現された熱帯雨林が話題を呼びました。
さて、今月そのスフェアーズで「ある珍しい植物」が開花しニュースになりました。この巨大な、奇妙な花を咲かせる植物がなんだか分かりますか?
アマゾン本社で開花した謎の花の正体
その植物は 9 月にアマゾン本社に持ち込まれました。このときにはまだ花を咲かせる様子はなく・・・なんだかタケノコのような形状をしています。
この植物の名前はショクダイオオコンニャク。サトイモ科・コンニャク属の植物で、インドネシア、スマトラ島の熱帯雨林に自生しています。
来た時は 20 インチ(約50cm)ほどだったものが、わずか一月ほどで 75 インチ以上(約 2m)にまで伸張。
ニョキニョキと伸びている中心部のものはショクダイオオコンニャクの花序。ショクダイオオコンニャクは、数年がかりで貯蔵した合成物を開花するわずか2 日間で使い切るといいます。
無事開花。ヒダ状の仏炎苞(花序を包む大型の苞。サトイモ科の植物に見られる)、天へ向かって突き出た花序・・・なんだか神々しいです。
嗅いでみると・・・とても臭いみたいです
ショクダイオオコンニャクは花序の先端から、強烈な腐臭を放ちます。匂いに引き寄せられた花粉の着いた甲虫が仏炎苞に落ち、受粉する仕組みなのだとか。
「すごい臭い・・・」を楽しんでますね、ここがオフィスの中であることなど忘れそうです。
ショクダイオオコンニャクの花は 10 月 19 日に開花し、21 日には花は閉じてしまったそう。また数年に渡って光合成をし合成物を貯める長い長い作業の始まりです。
日本でショクダイオオコンニャクの花が見れるところ
筑波実験植物園の高さ 240cm の特大ショクダイオオコンニャク
国内では、国立科学博物館筑波実験植物園のショクダイオオコンニャクが 2012年から 2014年、2016年、2018年と 2 年おきに開花しています。
今年は 6 月 26 日に開花してしまったので、次回も同じペースであれば 2020 年、オリンピックの年にまた開花する可能性があります。
また、2015 年の 9 月には神代植物公園でもショクダイオオコンニャクが開花。いずれも開花する際には珍しい植物とあって一目見ようと長蛇の列ができるそうです。どのような臭いがするのか、ぜひ一度実際に見てみたいものですね。