中国から突然ビニール袋に入れられた何かの「種子」が郵送されてくる、といったケースが Twitter などで多数報告されています。
これを受けて植物防疫所では送られてきた袋を開封したり、種子を植えたりしないよう、ホームページ を通じて注意を促しています。
植物防疫所は開封しない・植えないよう呼びかけ
植物防疫官による検査を受けなければ種子などの植物を輸入することはできない、と植物防疫法で規定されていますが、今回多発している中国からの郵送物は、外装に合格のスタンプ(植物検査合格証印)が押されていないため、持ち込みが禁止されている外来種が含まれる可能性があります。
有害な動植物の移入・移出を防ぐための検疫を行っている植物防疫所では、見に覚えのない郵送物に種子が入っていた場合は最寄りの植物防疫所に相談するか、植物防疫所に送付(送料は送り主負担)すれば植物防疫所で廃棄処分する、としています。
日本郵便も開封せず郵便局に届け出るよう注意喚起
日本郵便では注文した覚えのない種子が届いたという問い合わせが相次いでいることを受けて、不審な郵便物が届いた場合には開封せずに近くの郵便局に届け出るよう ホームページ に注意を掲載しています。
受け取りを拒否する旨を郵便局に申し出れば、郵便局では差出人に送り返か、差出人の住所がなければ3カ月間保存したのち破棄することになっています。
目的は「ブラッシング詐欺」?
種子が送付されている目的は明らかにされていませんが、「ブラッシング詐欺」の可能性が指摘されています。
「ブラッシング詐欺」とは注文件数や商品のレビューを水増しして、Amazon などウェブ通販における販売者の評価を不正に向上するオンライン上の詐欺行為の一つです。
ブラッシング業者は販売業者から金銭を受領し、架空の注文を大量に発注します。販売者は、空の箱やジャンク品などをブラッシング業者が注文時に指定した住所に発送。こうして架空の注文を成立させたのち、ブラッシング業者は商品あるいは販売業者に高評価のレビューを付けます。
この際に商品を送る住所が不正なものであると架空の注文であることが露見してしまうため、不正に入手した住所リストを商品の送り先に使っている可能性があります。
なぜ種子を入れたのか
仮にブラッシング詐欺目的で郵送したとして、なぜ種子を入れたのでしょう。アメリカの農務省が種子を調べたところ、ミントや朝顔、ローズマリーといった一般的な植物だったそうです。
アメリカの農務省が flickr で公開している郵送された種子の画像にも、「曼陀罗(朝顔)」とラベルが貼られているのを確認できます。
これは完全な憶測ですが、ブラッシングを企てた販売者がちょっと歪んだユーモアの持ち主で、受け取り主に迷惑を掛ける代わりに植物を育てて楽しんでもらえるように種子を入れた、と考えることもできますね。