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ハエトリ草の死のカウント – 2回目の接触で捕虫葉を閉じ、5回目で消化を開始する

北アメリカ原産の食虫植物・ハエトリ草の葉の内側に 2 回そっと触れると、獲物と判断して葉を閉じることは広く知られています。また、触れる間隔が 20 秒以上開くと葉は完全に閉じられません。つまり、ハエトリ草は「数を数える能力」と「時間を測る能力」を備えていることになります。

私たちが外から観察できるハエトリ草の性質は、2 回目まで触られた回数を数えることができるらしい、ということでした。しかし、新たな研究結果によれば、実は葉が閉じられたあともハエトリ草のカウントは続いているらしいのです [ 1 ]The Venus Flytrap Dionaea muscipula Counts Prey-Induced Action Potentials to Induce Sodium Uptake – Current Biology 。

ハエトリ草の合理的な消化プロセス

ハエトリ草は葉を閉じたあと、3 回目の接触で消化酵素の生産を、5 回目の接触で消化活動を開始します。このとき獲物の大きさによって適切な量の消化酵素を生産します。

ハエトリ草が 2 回目の接触をトリガーとして葉を閉じているのは、雨粒などを獲物と誤認し無駄なエネルギーのロスを避けるためと考えられています。消化のプロセスも実に合理的で、葉を閉じたは良いものの、獲物に逃げられていたり捉えたものが生物ではなかったとしたら、消化酵素の生産は始まらないことになります。

ハエトリ草は捕獲した虫などから生存のための栄養を摂取していると思われがちですが、実際には一般の植物と同様に光合成によって生存のためのエネルギーを賄っています。補食は生存に必須ではないうえ、葉の開閉はハエトリ草にとっては多大なエネルギーを消化するので、このような効率的な補食と消化のプロセスが確立されたのでしょう。

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