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米モンサント社は萎れない薔薇を生み出すか

切り花

米国特許商標庁に提出された出願記録によれば、米モンサント社は花瓶の水を介して植物に供給することが可能な、遺伝子技術を応用した花のアンチエイジングを研究しているようです。

老化の原因である植物ホルモン「エチレン」を抑止

植物の老化を促進するエチレンの生産を抑止するよう設計された、RNA と呼ばれる遺伝物質を花瓶の水に加える事により花が萎れるのを止めることができるとか。薔薇やカーネーション、ペチュニアなどを対象に行なった試験では、 2 週間が経過しても花弁が閉じることなく、わずかにカールしただけで開いたまま乾燥していったといいます [ 1 ]Monsanto Cultivates a Rose That Doesn’t Wilt – MIT Technology Review 。

米モンサント社は遺伝子組み換え作物の種子で世界一のシェアを誇り、しばしばその安全性が批判の的となっています。今回の研究も遺伝子技術が使用されていることから議論が起こることは必須でしょうが、モンサント社はこの研究を新鮮な花の寿命を延ばすことができ、廃棄物を削減する画期的な発明と見ています。

生花輸入にかかるコストを削減

米国で販売されている花の 80% は輸入に依存しており、世界的に見ても切り花や球根、鉢植えの植物の多くはオランダ、エクアドル、コロンビアから輸出されています。2013 年の輸出総額は約 20 億ドルでした。

生花業者が花を取り寄せるには、時間の制約があるため飛行機による空輸に依存しています。飛行機を使ってまで世界中から花を買い集めることには批判的な声も上がります。また、輸送にはアンチエイジングのためのガスや有毒化学物質が用いられることもあります。

もしこの研究が実用化の段階に進めば、輸送にかかるコストと廃棄物を削減でき、環境に良い影響が期待できることは明らかです。問題は、遺伝子操作技術をビジネスとするモンサント社に対する嫌悪感と、遺伝技術が世の中に蔓延することへの倫理的な抵抗でしょうか。

花は植物が自らの遺伝子を残すための方法であり、役目を終えれば枯れるのが宿命でしたが、枯れることの許されない花が生み出されるのもそう遠い日ではないかもしれません。

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1. Monsanto Cultivates a Rose That Doesn’t Wilt – MIT Technology Review