水分を得ることが困難な砂漠において、ほとんどの植物は根を土中深くに伸ばすか、広範囲に広げて水分を得ようとします。
では苔のように根を深く張らず、葉も小さい植物はどのように水分を得ているのでしょう?
苔の水分収集システム
砂漠の苔は生存に必要な水を得るのに根ではなく葉を、正確に言えば葉の先端にある 0.5~2mm ほどの、直径 50μm 未満の毛尖(Awns)を使用して大気中から効率よく水分を集めることができます。
苔が持つ毛尖は雨粒などから直接水分を得ることもできますが、砂漠に発生する霧に含まれる微小な水粒を集めて液体に変える「凝縮」を発生させ、取込む機能を持っています。
【動画】苔が待機中の水分を収集する様子
毛尖によって集められた微小な水滴は毛尖表面の溝によって収集され、十分な大きさの水滴となってから葉へと流され、葉によって吸収されます。この仕組みによって、砂漠で発生する霧から十分な水分を集めることができます。
水を得ることが困難な環境でも苔が生存できるのは、このような高度な水収集システムを備えているからなのです。
苔の水収集システムの研究はナノテクノロジー技術の進歩に貢献し、乾燥した環境で水を輸送・収集するシステムの改善へと繋がる可能性が期待されています。