ネクターガイド(蜜標、ネクターサイン)は被子植物、特に虫媒花に見られる虫に蜜のありかを示す花弁の模様のことです。
ツツジのネクターガイド
ツツジの花弁のひとつ(実際には基部で繋がっている合弁花)には、蜜の場所を示すネクターガイドがあります。
雌しべと雄しべは蜜を吸いに来た虫に接触するよう、ネクターガイドの向きに先端が曲がっています。
人の目に見えないネクターガイド
ツツジのネクターガイドは人の気を引く豹柄の模様をしていますが、本来は蜂や蝶など花の蜜を運ぶ虫に蜜の場所を気付かせるためのものです。
タンポポやコマツヨイグサは人の目には黄色一色に見えていますが、紫外光を吸収する物質が花の中央に多く含まれるため、紫外線を感知できる虫には模様があるように見えています。
さらに、ネクターガイドにある紫外線を吸収する物質は葉や花を食害する虫に対して忌避効果があり、生存競争を生き抜くために花弁の機能を発達させてきたことが分かります。
またこうした花の特性を利用し、蜂などを捕食する蜘蛛の一部には紫外線を吸収する腹部をもちネクターガイドに擬態する性質を持っている種が存在します。